Ten Stories That Shaped 2018
カレントアウェアネスに「Ten Stories That Shaped 2018」の記事が掲載されていたので、日本語訳にチャレンジしてみました。
やはり日本とは話題になっている事柄が異なっていて、訳すのも難しいです。
でも、今後日本でも問題になるかもなぁという事柄もちらほらあって勉強になりました。
時間が作れたら1つ1つの事柄についても深く掘り下げていきたいです。
各項目の★以下は補足情報です。
引用元
Ten Stories That Shaped 2018 | LISNews:
LIS Newsが選ぶ2018年の図書館・図書館情報学関連の10大ニュース(米国) | カレントアウェアネス・ポータル
目次
- The Opioid Epidemic Continues オピオイド蔓延問題の継続
- More Fake News フェイクニュースの増加
- Search Engines are Bigots 検索エンジンの偏り
- Prison Book Bannings 刑務所での禁書
- Judicial Issues Roundup 司法の問題のまとめ
- Honorable Mention 特別賞
- A New "Fake Paper" Scandal 新たな「フェイク論文」に関するスキャンダル
- Whither Open Access オープンアクセスの行方
The Opioid Epidemic Continues オピオイド蔓延問題の継続
アメリカでは麻薬乱用が蔓延しており、結果として平均寿命が低下している。図書館で発生している過剰摂取への治療として「ナロキソン」を使うことは、我々が行うことのできる公衆衛生への貢献の1つである。
★オピオイドは医療用麻薬。長時間の鎮痛作用があるとして爆発的なヒットを記録した。しかし、副作用である離脱症状が深刻。2015年は過剰摂取で2万人以上が死亡している。依存症患者も200万人近くいる。日本では主に「がん」の疼痛治療を目的に利用されており、医師による厳密な管理がなされているので乱用にはつながにりにくい。
[参考文献]
米国で深刻な処方鎮痛剤の乱用問題 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
More Fake News フェイクニュースの増加
政治的プロパガンダは新しいものではないが、でたらめな報道を作り出す技術の進歩によって助長された「情報テロ(サイバーテロ?)」とよばれる脅威の成長は我々図書館員の「アーキビスト」や「教育者」としての役割を増大させている。
Search Engines are Bigots 検索エンジンの偏り
「Algorithms of Oppression(抑圧のアルゴリズム)」は図書館員の間では長い間常識となってきた事柄を明らかにした。「ガーベジ・イン・ガーベジ・アウト」は情報を集める際におこりる。未来のAIがバイアスのかかった情報から解き放たれることを願っている。
★「ガーベジ・イン・ガーベジ・アウト」とは「不正確なデータを入力すれば,不正確なデータが出力される。出力の質は入力の質次第だという経験則」という意味(三省堂 大辞林)
★検索システムは決して中立ではなく、ある検索結果を優先的にヒットさせたり、社会的なバイアスが働いている。
[参考記事]
Prison Book Bannings 刑務所での禁書
共和党員の多くは高等教育は国に悪影響を及ぼすと考えています。よって、教養のある囚人を増やすことに、刑務所の関係者が強く反対することも不思議ではない。
★ルイジアナ州更正局が、刑務所から950冊の本や雑誌を排除するリストを公開した。
[参考記事]
Judicial Issues Roundup 司法の問題のまとめ
2018年の司法関係の話題には下記のようなものがある。
・アバンダンウェアとフェアユース
・EBSCO社のデータベースからポルノサイトにアクセスできる問題
・3Dプリントによる銃
・米国著作権局の米国議会図書館(LC)からの移管
Honorable Mention 特別賞
johon Oliverが自身の著作「A Day in the life of Marlon Bundo」の売り上げを「The Trevor Project」と「AIDS United」に全額寄付したことに賞賛を。
A New "Fake Paper" Scandal 新たな「フェイク論文」に関するスキャンダル
人文学の査読論文に偽論文を掲載させることに成功した件に関して意見が分かれている。
★人文地理学専門誌「Gender, Place & Culture」にわざと作られた偽論文が掲載された
[関連記事]
リアルな偽論文で暴かれた米学術誌のずさんな審査、一方で手法を疑問視する声も:時事ドットコム
Whither Open Access オープンアクセスの行方
「プランS」として知られる、エンバーゴなしで自由に出版された論文を利用できるようにすることを求めたヨーロッパのポリシーは、多くのオープンアクセス論者たちから注目を浴びましたが、誰もが完全にそのアイデアを理解しているわけではない。
[関連記事]
欧州11の研究助成機関、2020年以降の即座OA義務化を宣言―権威ある学術雑誌の終焉となるか?|学術情報流通|国立情報学研究所 オープンサイエンス基盤研究センター
Eschewing Fines 罰金の廃止
いくつかの図書館が「延滞による罰金」制度を廃止した
Data Breaches Fuel Privacy Concerns データ侵害がプライバシーへの関心を高めた
ケンブリッジ・アナリティカ社のスキャンダルや同様の事例があり、図書館員がデータ収集について慎重に検討するようになった。トラッキングメカニズムによって利用者のプライバシーが侵害されないように注意する必要がある。
★ケンブリッジ・アナリティカ社が米大統領選とブレグジット(英国の欧州連合離脱)をめぐる英国民投票の結果に影響を与えるため、数千万人分のフェイスブック利用者の個人データを使用したと告発された。
[関連記事]
ケンブリッジ・アナリティカ廃業へ フェイスブックデータ不正収集疑惑で - BBCニュース
LGBT Challenges & Drag Queen Story Hours LGBTの課題と「ドラァグクイーン読み聞かせ会」
LBGTQのテーマ展示を禁止しているユタ州の図書館長、LGBTQに関する図書館資料を燃やしたアイワナ州の男性といった背景の裏で、ルイジアナやカンザス、そしてテキサスの図書館はドラァグクイーンと子供たちのプログラムに関して強い批判に直面した。
★ドラァグクイーンとは女性の恰好をする男性のこと。LGBTQの「Q」はクエスチョニング(性自認や性的指向を定めない人)(2018-10-15 朝日新聞 夕刊 2社会)